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執筆者の写真MukoGuchi IP Law Firm

<高校時代は人間力の醸成の大事な時>

                               宮内 直(技術士、工学博士、機械学会フェロー)

地方公立名門高校の卒業生は人間力と好奇心・地頭が強く伸び代が大。率直で元気で挑戦的、ストレス・逆境に強く、様々の境遇の仕事相手の懐へ初対面でも飛込む。また地方の親達は「子供は何とか国立大学へ」と懸命に働き、子供もその感謝で社会に出て勤勉なので企業に人気。地方創生が最近よく話題になるが、明治の近代化から戦後復興・高度成長は、江戸時代の全264藩(領邦)の社会インフラと経済力(文化中心の城下町の産業や教育等)が育てた多彩な人材が背負った事は周知。斜陽の気配もある日本の発展の持続には、地方のこの活力と人材が今後も絶対に必要。東高の運動会また京大の大学祭に行くと、学生達は今も人間力豊かで一安心。


伊予は瀬戸内海の水運、更に海山の特産(塩や海産物、蝋、砥石等)の豊かな四位上﨟の熟国のため、国司は播磨と共に平安貴族に最も人気。家康も重視、更に小市国造以来1000年以上の名族・河野の宗家の断絶で細分割されたが(伊予8藩)、各城下に連歌や俳句、算額、芝居、能等の文化。私塾・寺子屋も農村部を含め各地で盛ん。愛媛の県立高校はこれら文化を継承し3人のノーベル賞受賞者も輩出。東高はその典型だが、旧制中学以来の教養主義また自立心醸成の放任(中高一貫校の様な予備校的詰込教育では無いので、偏差値は5は減か)。また新米教員の漱石と渡り合って以来のバンカラ。懐かしい学校行事等、OBの昔話をご笑覧ください。


ボートレースの選手に選ばれ梅津寺の艇庫には渋々顔の遅参。既に野球部やラグビー部の4人がこの『青春の一事』に全身全霊、熊の様に猛る力比べの真っ最中(何でも良いから目立ち同学年550人のの中に埋没せず)。私は全員の冷視を浴び「コックスでもやれ」となったが、リズム感0の掛声にオールが全く揃わず、薄ら寒い曇天下の半日練習は非難の嵐。どうなる事かの本番は気合でアドレナリン全開、紅樹と大接戦。掛声「キャッチ・ロー」のピッチを上げ鼻差の大逆転に全員で小躍りしボートは転覆寸前。堀江浜への凱旋は真夏の真青な空と海、次第に近づく大歓声と笑顔も心地良。


全国的に有名な運動会はまずリヤカーを引き城山を一周し商店街や銭湯の段ボール集め。菊間の友人が運転するトラックの荷台に乗り、東山の本家の竹林へ。また若気の至りも余韻の深夜0時過ぎ、教員の見回りと聞き理科室の床下に潜込むと蜘の巣だらけだが眠り呆け、秋雨の頬打つ飛沫に目が覚めた。当日は『松山や天より高き天守閣』の盛秋の日本晴。紫雲の野外劇は「チンギス汗になった義経」。馬も乗せ日本海を渡る大フェリーの舳先には義経。兜の鍬形は真青に澄みきった広空の下、西陽にキラキラ黄金色に輝く。ケレイトやナイマン、メルキトを次々と破り西夏へ。突如、高塔に現れた王女が飛降り(勿論、体操部が代役)井上靖の名作、敦煌を想起し演出監督の才気に驚嘆。東高は多士済々だった。

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